❈❈冬の寝床❈❈

今のように暖房器具などない時代、寒い冬の夜をこんな風に過ごしたそうです。

 

居間の次が納戸で、仏間との間に寝室が位置している場合が多かったと思います。

吹雪の夜は軒から霰が顔や首筋に落ちたものです。

布団の下に『藁』や『すべ』(藁の葉の部分)を敷いたりして冷えを防ぎました。

耳の付いた『夜着』を掛け布団にしました。

                      

 「『ガサガサ』言うてやかま(耳障り)しいがいれど、『すべ布団』に寝てみるかいや」

「温(ぬく)いもんじゃそうな、ちょっ(少し)こり(位)くらい、やかましても、我慢(がまん)せんならん」

「布(きれ)ぁ弱かったかちゃ、藁(わら)の先で破れて『すべ』ぁ顔出すそうな」

「やっぱり、音ぁ、いじくらし(うるさい)いかのう、寝付(ねつ)くなり、『ガサガサ』やられたかちゃ、まんごね(絶対)も、ねぶれ(眠る)んがにならんかのう」

「耳のでかい『夜着』(耳の付いた布団)で押さえつけられてねぶりゃ(寝たら)、温(ぬく)かろう」

「湯たんぽの代わりに、えれ(囲炉裏)で、石んなむ(を)焙(あぶ)って布(きれ)で『マイタマイタ』して、おだい(抱いて)てもぬくい(温い)といし」

「湯たんぽのくっさし(栓)ゃ、脱(ぬ)げて、敷布団な『ベチョベチョ』になってしもうて、おぞい(酷い)目におうたぞいし(逢いましたよ)

「そがん(そんな)ことより、首に霰(あられ)ぁ降(ふ)ってこん(こない)(ように)にしてくさい(下さい)せ」

おしまい